女二人のニューギニア  

女二人のニューギニア  有吉佐和子 著  朝日新聞社 1969 (朝日文庫 1985)

 ベストセラー作家・有吉佐和子とニューギニアはどのようにして結びついたか…。
 文庫版の裏表紙の紹介文を転記しましょう。
幼少の折、7年間インドネシアに暮らしたことのある著者が、文化人類学者の友人の悪魔の囁きにのせられて、密林の山々に十重二十重に掩われたニューギニア最奥地にやっとの思いで辿りつき、二人で生活すること1ヶ月―抱腹絶倒、茫然自失のワイルドライフをルポした著者初めての紀行文学!
  有吉さんは本文で、「紀行文はこれまでに主義として書いたことがない」と述べてます。この作品は帰国後に「週刊朝日」に連載された文章でした。 
 物語を書く人の文章は読む者を惹きつけます。『深夜特急』を読んだときもそう感じましたっけ。



 有吉佐和子さんが出かけた1968年当時は、島の右下のパプアがオーストラリア領、右上のニューギニアがオーストラリアが国連から委託された信託統治領と分かれてました。
 有吉さんの学生の頃からの友人、畑中幸子さんは、ニューギニア側の山奥で1965年に発見されたシシミン族という種族を調査してました。有吉佐和子さんはこの友人に連れられてニューギニアの奥地に分け入ったのです。
 1968年のニューギニアですからね。文明の影響がそれほど及ばない頃の現地の人たちとの出会いや、電気や水道などライフラインがないところでの暮らしは、心強い友達がいたからこそですよね。
 
“シシミンは狩猟民族なので、耕作はサツマイモを植える以外に何もしていない。”という箇所があります。
 ニューギニアでサツマイモといえば…、
「世界うるるん滞在記」の津田寛治さんの回ですよね。(見てない方はごめんなさい)
 サツマイモ好きな現地の人のために、四国特産のサツマイモを届ける滞在記です。サツマイモの耕作指導に生産農家の方が同行する続編があります。
 この本を読んで、現地の人たちのサツマイモ好きは、TV局の誇張ではなかったのだと思いました。
 また、番組の最初に、津田さんが訪ねる予定の村に近づいたときに、村の男たちが奇声をあげながら駆けてくる場面があります。歓迎の挨拶です。
 有吉さんの本にも、有吉さんの友人を護衛するポリスが交代するときに、後任のポリスがシングアウトしながら(奇声をあげながら)村に向かい、前任のポリスや村の男たちもシングアウトして応えたことが書かれています。「ウルルン滞在記」の男たちが声をあげながら飛び跳ねる映像を思い浮かべました。

 この本の面白さは、著者と友人とのやり取りがあったればこそと思います。‘関西弁の畑中さん’は、たのもしく、また非常に興味深い人物に描かれています。畑中さんと畑中さんにかかわる人物の物語のようにも思えました。
 畑中さんvs有吉さん
 畑中さんvs現地の人たち
 畑中さんvs中根千枝さん
 三番目の中根千枝さんは畑中さんから連想した人物です。
 中根千枝さんは社会人類学の分野で偉い先生になられますが、中根さんもまた、20代のときに一人でインドのアッサム地方の奥地に現地調査に行っています。『未開の顔・文明の顔』という本でそのときのことを読みました。
 有吉さんの本で知る畑中さんの仕事ぶりと、中根千枝さんのアッサムでの調査の様子が共通しているように思えました。

 最後に、文庫版には単行本にあった口絵写真と挿絵がひとつもありません。(巻末によくある解説もありません) お読みになるなら単行本をお勧めします。ソフトカバーなので重くないですよ。

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2.20追記
サツマイモのこと
畑中さんの『ニューギニア高地社会』(中公文庫)に、“今から300年ないし350年前にヨーロッパ人あるいはマライ人の航海者によってニューギニアにもたらされた”とありました。“サツマイモは、海岸からしだいに奥地に入り、高地で拡がった”そうです。
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by ruksak | 2010-01-30 18:19 | 旅の本 | Trackback | Comments(2)
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Commented by m_benten at 2010-01-30 20:33
ご無沙汰しちゃって(^^ゞ
旅ブログ 進んでいましたね、
やはり 本の紹介も紀行文が多いですね、↓の物も。
有吉さんのは抱腹絶倒ですか!
読んでみたいですわ。

昨日 ライブ終えました。
一ヶ月間 営業ウーマンでしたよ。
Commented by ruksak at 2010-01-31 17:32
m_bentenさん
うわあ、ほっと一息ですね。お疲れ様でした。

有吉さんの小説は、恥ずかしながら一冊も読んでないんですが、
あの有吉先生がこんなにズッコケた人だとは思ってもいませんでした。
図書館ででも借りられたらぜひ。すぐに読み終えますよ。


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