カテゴリ:旅の本( 140 )

旅の流儀

旅の流儀  玉村 豊男 著  中公新書  2015.6.25

 偶然ですが、昨日の『タタタタ旅の素』と同じ、『旅行読売』の連載が元になってます。
 書下ろしが数篇と、連載期間が2012年から今年の初めまでなので、話題に古さは感じないと思います。著者が60代後半だったので昨日の阿川佐和子氏の本に比べると、すいぶん落ち着いた語り口に感じられます。

 かつての旅の話もあり、それはそれでその時代とその時代の著者に興味が湧きました。玉村氏は若い頃貧乏旅行をされてて、意外にもヒッチハイクの名人だそうです。

 この本で特に印象に残った箇所が二つあります。
1.「異常気象と天気予報」の回で
 最近の天気予報は、「傘を持って」とか「コートがいる」のようなアドバイス的なことも言うようになり、それについて玉村氏は
“雨や風が強そうだから外出はお控えください、と言うに至っては、まったく余計なお世話である”と、おっしゃいます。私もこれはどうなんだろう(どうあるべきか)と思ってました。
 観光地で商売をしている者にとっては、天気予報でこのように言われると死活問題なのだそうです。行くのを止めてしまいますよね。
 代わりに、氏は雨の日でも人が出かけるような言葉をかけてほしいと希望しています。
“「雨に濡れた緑は美しいですよ」
「雨の日は旅館でゆっくり過ごしましょう」”

(10/30追記:この秋立て続けに来た強風低気圧のあと、テレビのインタビューに「外出を控えたから災害から免れた」と答えた方がいらっしゃいました。~情報提供は慎重にしないといけないですね)

2.「暑い国と寒い国」の回で
 タイでは、
“クーラーをがんがん効かせた部屋でセーターを着て過ごすのが、裕福な暮らしをする人のステイタス”
を読んですぐに北国の人間を思い浮かべました。
 我々北国、いえ北海道限定かもしれませんが、私たちの憧れは、
‘’暖房をがんがん効かせた部屋で半袖のTシャツを着て過ごす’ことです。「裕福な暮らし」ではなくて、「欧米風の暖かな住宅」への憧れなんですけど。
 ‘真冬に半袖のTシャツ’はウォームビズに反しますよね。厳しいです。
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by ruksak | 2015-10-04 08:00 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

タタタタ旅の素

タタタタ旅の素   阿川 佐和子 著  文春文庫   2002.7.10

『旅行読売』に連載した旅エッセイを一冊にまとめたものです。(単行本から文庫化されてます)
 ’96年~'99年の連載ということなので、著者40代半ばぐらいに書かれたエッセイですね。
 テレビで見たとおりのざっくばらんな人柄がよく表れて、どれもテンポよく読めます。文庫の紹介文に書かれてあるように、“すぐにでも旅に出たくなるエピソード満載”です。年代が近いからか、共感することが多かったです。

 最初の“ケチ・コレの”エピソードがホテルの石鹸や歯ブラシを持ち帰る話で、大作家のお嬢様で本人も有名人でも、消耗品を持ち帰るのか~と、親しみを感じました。持ち帰り始めた動機は、一回しか使ってなくても一度封を開けたら、捨てられる(かどうか正確にはわかりませんが)のがもったいないと思ったからです。

“旅便り”の回では、ためてしまった手紙やお礼状の返事を旅先からの便りで返事に返させてもらうことが書かれてます。
 旅行中だってハガキに向かう時間をつくるのは難しい、けど、しかし、私も同じことしてます。外国からのエアメールなら、返事が遅くなったことの非礼を差し引いてくれるかなと思って。マカオから返事の代わりにクリスマスカードを送ったことありました。(詳しくは、カテゴリorタグのマカオで)

 いくつかのエッセイに家族のエピソードが書かれています。
 お父上である阿川弘之氏も頑固親父的な思い出話とともに度々登場します。
 頑固親父、ワンマンな旦那さん・・は、今の時代も存在するでしょうか。
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by ruksak | 2015-10-03 12:54 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

草の国の少年たち

草の国の少年たち   椎名 誠 著  朝日新聞社  1992.12.25

旅のあいだいつもどこかにはにかみ屋で好奇心いっぱいの心やさしい子供たちがいた。風と草の国を馬とぽこぽこ歩いて回った写真日記。

 冒頭の文章は帯の紹介文です。
“写真日記”なので、ページの上半分に「白黒」写真、下半分に文章が書かれています。見開き全部写真のページもあります。風と草の国=モンゴルです。
 この白黒写真がいいんだなあ、文を読まなくてもいいくらい。椎名誠氏は写真がうまいとは思ってましたが、こんなにとは思いませんでした。失礼いたしました。
 各写真が暗室で現像したときにできるような黒い枠線で囲まれています。それが写真により素朴な印象を与えているかもしれません。

(この本は、「椎名誠写真劇場」シリーズの一冊です)
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by ruksak | 2015-09-30 16:32 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

素顔の一瞬

素顔の一瞬(とき)   高円宮憲仁親王 著   中央公論新社  2002.10.7

『婦人公論』に連載したフォトエッセイを一冊にまとめた本です。

 大学に留学されたカナダや、公務で訪ねられた様々な国々、沖縄のエピソードが綴られています。グリーンランドの犬橇犬の写真が表紙に使われています。けっこう目を引きます。

 文頭に次のような文章がありました。
“素人写真と素人作文ではありますが、国内外で私が経験してきたいろいろなことの一端でもお伝えしたいな、と思いました” (はじめにより)

 確かに文章も写真もプロの方のものとは違いますが、各ページから温かなお人柄が感じられました。訪問先または来日した要人との公式行事は私にとっては雲の上の出来事だけれど、私的な部分は一般の人に通じます。

 恥ずかしながら、お父上の三笠宮崇仁親王がメソポタミア文明をはじめとするオリエンタル学の学者であられることをこの本で初めて知りました。以前読んだメソポタミア文明の本に三笠宮親王が序文を書かれていたことを今回合点しました。

 高円宮様はこの本が出版された1か月後に急逝されました。残念でなりません。
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by ruksak | 2015-08-08 15:32 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

イタリア田舎暮らし

イタリア田舎暮らし  有元 葉子 著   ちくま文庫  2004.5.10

 有元さんはイタリア・ウンブリア州の小さな町に恋して家を買ってしまいました。イタリアと日本を行き来する生活で、家を持ったあとは、「イタリアの家に帰る」感覚でイタリアに向かいます。
 有元さんのイタリアの田舎暮らしは、スローライフというのでしょうか。BS日テレの「小さな村の物語 イタリア」の世界そのものです。うらやまし~。

「うらやまし~」田舎暮らしを連想させる写真が多数収録されており、-そのいくつかは有元さん撮影ー、反面、本文に関する箇所を記した地図もあるといいナと思ったり。・・地図がないのは私の旅報告も同じでしたね。


 この本では、「イタリアの田舎暮らし」に関して初めて知ることがいくつかありました。

*薪を売る「薪屋さん」がある ~暖炉やグリルで薪を使うから

*パンを焼く粉をひく「粉ひき小屋」がある ~とはいえ昔ながらの粉ひき小屋はなくなる運命にあるよう

*"ちょっと山に入ると、「ここはトリュフが採れるけれども、免許証がある人以外は採ってはいけない」という看板が、あちこちの木の間にかかって"いる ~ウニが採れる浜みたい

 最後にとってもびっくりすることが書かれてました。現在は法律が改正されているかもしれませんが・・。
 イタリアでは、とくに南イタリアでは、収入のない人のために政府が家を建てて、生活を保護しています。そのため、働かずに、何もしないで暮らしている人が多いのです。どこからそんなお金が出ているのか。それは働き者の北イタリアの人びとの税金でまかなわれているのだそうです。だから北の人たちの中には、南を切り離して独立しようと本気で考えている人たちもいます。
 南は南で、下手に収入があると、家ももらえなくなるし、生活保護を受けることができなくなるので、ぜんぜん働かないそうです。(p164より)


da arrimoto yoko 有元さんのHPです。Letterのタブのエッセイのなかにイタリアがテーマのことを書いた文章があります。バックナンバーは日付ごとの表示なので、中身がすぐわからないのだけれど。
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by ruksak | 2015-07-25 16:39 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

ファーブル 昆虫と暮らして

ファーブル 昆虫と暮らして  ファーブル作 林達夫編訳 岩波少年文庫  1956.4.25

『ファーブル昆虫記』を読んでおりません。子どもの頃、昆虫にさほど興味がありませんでした。
 この本は、“『昆虫記』から自伝的な部分を選んでまとめた”ということなので、出身地の南仏の香りがするかと思って手に取りました。

 ファーブルといえば『昆虫記』、で現代まで名を残しています。ファーブルは長い教員生活のあとに、56歳から『昆虫記』の執筆に取り掛かりました。50代というと人生の峠を過ぎたような気がしますが、そう思うことはないですね。
 
 ファーブルは南フランスの山奥の小さな村の貧しい農家の家に生まれました。田舎の村ではみんながみんな字が読めるわけでなく、ファーブルのおばあさんはアルファベットのことを、“目をわるくするのにもってこいの代物”と思ってました。子どものときは普段裸足で、靴は日曜日やお祭りの日にしか履かせてくれなったそうです。
 おしゃれな国のイメージのあるフランスでもそんな時代があったんだなと思いました。
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by ruksak | 2015-07-02 13:29 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

黒人大学留学記

黒人大学留学記 -テネシー州の町にて  青柳清孝 著 中公新書  1964・7・25

1956年から58年まで、私は、アメリカ南部テネシー州のナッシュビル市の黒人地区で生活を送った。

 本書はこの書き出しで始まります。ナッシュビルの大学に留学時、著者は26歳でした。
 
「ナッシュビル」で思い浮かべるものは…、
 一番に浮かんだのは、カントリー、カントリーミュージックの聖地、でした。
 でも、「アメリカ南部」といえば、黒人差別、という言葉も浮かびますよね。
 人種差別撤廃を唱えた「新公民権法」が成立したのは、1964年です。著者がアメリカに滞在したときは、公民権運動が高まりつつあるときで、著者が62年に南部を再訪した際、4年前の留学時よりさらに変化を感じたそうです。

 法律で差別がなくなっても、人々の意識の中はどうでしょう。
 新公民権法が成立する前から法的な差別を行っていなかった北部が、黒人にとって住みよかったかというとそうでもなかったようです。

 だけど、マイケル・ジャクソンや陸上やバスケットのトップスターには黒人が多くて、彼らは人種を問わないスーパースター、…ですか。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~^^ 


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     足元でも桜が楽しめました。(4月下旬、札幌大通公園にて)
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by ruksak | 2015-05-14 14:29 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

母と子のマレーシア通信

母と子のマレーシア通信 ー娘のホームステイ体験から
渡部 弘子 著  中公新書  1994.4.25

 最近手紙ずいています。
 この本もクアラルンプールに留学中の高校生の娘さんとお母さんの書簡集。1989年3月から翌年2月までのやり取りです。

 この本を読むと、留学には当たり外れがあるなあと改めて思いました。その人に合う合わないという意味も込めて。
 国、滞在地(都市or地方)、滞在場所(ホームステイor寮・一人住まい)、滞在家族、学校など。
 娘さんと同時にマレーシアに留学した学生のなかには、途中で帰国した人やホームステイ先を変更した人がいました。娘さんの留学プログラムでは滞在場所はホームステイのみで、マレーシアは多民族国家なので、ホームステイ先の家族がマレー系かインド系などによって暮らしぶりがだいぶ変わってきます。
 娘さんのところは華人家庭で、学校はマレー系の女子高でした。「当たり」のところに振り分けられたかもしれませんが、本当に「当たり」にするために娘さん自身も我慢や努力をしています。

 母娘間の手紙ということで、またまた我が手紙のことが思い出されました。私の手紙はどのように読まれていたのか、私はどのように読んでいたか。
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by ruksak | 2015-04-18 14:08 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

迷える者の禅修行

迷える者の禅修行-ドイツ人住職が見た日本仏教-  ネルケ無方 著 新潮新書 2011/1/20

 安泰寺ー、兵庫県但馬地方の山奥の禅寺です。現在の住職はドイツ人です。
 この本には、タイトルの通り、ネルケ住職のドイツでの生い立ちや座禅との出会いから、住職になった現在までのことが書かれています。
 リンクした新潮社のHPの「立ち読み」で表示される 目次 で現在に至る過程がなんとなくわかっていただけると思います。最後の章に欧米人と日本人の対比があります。
 外国人が書いたとは思えないぐらい読みやすく、笑える箇所がところどころあります。

 世の中にはいろいろな世界があり、普段お寺と関わりのない私には、仏教や禅寺修行の世界を知る良い本でした。また精神世界を再考する哲学書のようでもあります。

 この本を読んで、私も座禅修行をしてみようかという気になりました。しかし、数日間の体験修行では観光気分で終わるだろうし、かといって本格的な修行の厳しさには耐えられないと思いました。
 日々の修行の厳しさもさることながら、上位の人に逆らえない完ぺきな縦社会を、今を生きる人はどのくらい耐えられるでしょう。(「パワハラ」で訴えられることはないんでしょうか)
 修行する確固たる理由や目的があれば、成し遂げられる、に違いありませんが。

 安泰寺の修行のようすは、新潮社のHPの立ち読みの部分でも読めます。同じ立ち読みにある冬の安泰寺の全体写真は、青池保子氏描くキリスト教シトー派の僧院を思い起こさせます。

*安泰寺のホームページもぜひご覧になってください。
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by ruksak | 2015-03-20 15:36 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)

巴里ひとりある記

巴里ひとりある記   高峰秀子 著   新潮社  2011/11/25 (1953年に映画世界社で刊行された本の新装版です)

 高峰秀子さんが「巴里で一人歩き」したのは、昭和26年、27歳のときです。
 人気女優にもかかわらず、半年以上仕事を休んで海外に出かけてしまいました。「映画スタア・高峰秀子」を知る人が誰もいない土地へ脱出したというのが本当のところのようです。半年の休暇を得て、帰国後に「二十四の瞳」はじめ数々の名作を生み出します。
 やっぱりリフレッシュ休暇は必要なんだと思います。高峰秀子さんは5歳で子役デビューしてから20年以上働きづめだったんです。普通の会社でもリフレッシュ休暇の制度をもっともっと広めてほしいです。

 昭和26年のパリや海外旅行について興味がありました。
 この本で印象に残ったことをいくつか・・、 

続く
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by ruksak | 2015-02-23 15:46 | 旅の本 | Trackback | Comments(0)


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