ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版
ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版 服部 正也 著 中公新書 2009.11.25
リンク先の帯をご覧になりましたか。ものものしいですね。
とはいえ私も、「熱血(漢)」という言葉は、著者のためにあるのではないかと思ったものです。
“これは、アフリカの中央の小国ルワンダの中央銀行総裁として勤めた六年間の記録である。”
冒頭の一行です。
旧版はルワンダから帰国の一年後に発行されました。(1972年)
2000年前後に一度読みましたが、増補版が出版されたので今回もう一度読んでみました。
硬そうなタイトルなので、図書館の新書の棚に行ってもなかなか手に取る気持ちにならなかったのですが、読んでみると、経済や通貨改革の話が中心なのでそんなに多くありませんが、当時のルワンダの国の様子を興味深く読みました。
本の中で、ルワンダ人(黒人)、外国人(欧米人/白人)、インド人、アラブ人の名前が出てきます。
外国人はルワンダ人を下に見、ルワンダ人も外国人に対してコンプレックスを感じているように見受けられました。
そこで、我が’91のジンバブエからケニアまでのアフリカ旅行を思い返すと…。
アフリカを旅行中、アフリカは白人対黒人の国で、東洋人は外野の存在に思えました。(アフリカ大陸のすべてを見ていないけれど)
だから、アフリカが日本からずいぶん遠くに感じましたし、そして、アジアを飛び越えてアフリカに来ていることで、自分のルーツであるアジアが見たくなりました。恥ずかしながらそれまでアジア地域にそれほど関心がありませんでした。
メインの経済の話については、続けて読み直すとなんとなく話が見えてきました。今回読んでも、わからない部分が多かったですけどね。
ただ、一国の通貨制度を構築する、あるいは改革するということはこういうことなのかと感じました。
著者の任務はルワンダ経済を立て直すことで、その後ルワンダは順調に発展を続けます。
しかし、経済発展により、“70年代は人口の約9割を占める農民を中心とする平等かつ伝統的な助け合いの精神に溢れた比較的平穏な社会であった”のが、80年代に入ると、“農民と都市移住者との所得格差が急速に拡大”していきます。(p327 大西義久氏の増補原稿による)
中国が思い浮かびました。経済が発展すると格差が生ずるものなんでしょうか。
本文中に、最初に書いた著者の熱血(漢)ぶりを示す発言が数多くあります。「オシムの言葉」ではないけれど、「服部語録集」として出版できるくらいです。
赴任先に家族を伴うことについての著者の信念が特に心に残りました。
余談ながら、増補版が出版されたのをきっかけに、氏の6年間の奮闘をメディアで取り上げてくれないかなと思います。再現ドラマで、できればアニメーションなら、全編日本語でも違和感が少ないと思うのですが。アニメのほうが手間がかかるかな。
Commented
at 2009-12-21 15:28
リンク先の帯をご覧になりましたか。ものものしいですね。
とはいえ私も、「熱血(漢)」という言葉は、著者のためにあるのではないかと思ったものです。
“これは、アフリカの中央の小国ルワンダの中央銀行総裁として勤めた六年間の記録である。”
冒頭の一行です。
旧版はルワンダから帰国の一年後に発行されました。(1972年)
2000年前後に一度読みましたが、増補版が出版されたので今回もう一度読んでみました。
硬そうなタイトルなので、図書館の新書の棚に行ってもなかなか手に取る気持ちにならなかったのですが、読んでみると、経済や通貨改革の話が中心なのでそんなに多くありませんが、当時のルワンダの国の様子を興味深く読みました。
本の中で、ルワンダ人(黒人)、外国人(欧米人/白人)、インド人、アラブ人の名前が出てきます。
外国人はルワンダ人を下に見、ルワンダ人も外国人に対してコンプレックスを感じているように見受けられました。
そこで、我が’91のジンバブエからケニアまでのアフリカ旅行を思い返すと…。
アフリカを旅行中、アフリカは白人対黒人の国で、東洋人は外野の存在に思えました。(アフリカ大陸のすべてを見ていないけれど)
だから、アフリカが日本からずいぶん遠くに感じましたし、そして、アジアを飛び越えてアフリカに来ていることで、自分のルーツであるアジアが見たくなりました。恥ずかしながらそれまでアジア地域にそれほど関心がありませんでした。
メインの経済の話については、続けて読み直すとなんとなく話が見えてきました。今回読んでも、わからない部分が多かったですけどね。
ただ、一国の通貨制度を構築する、あるいは改革するということはこういうことなのかと感じました。
著者の任務はルワンダ経済を立て直すことで、その後ルワンダは順調に発展を続けます。
しかし、経済発展により、“70年代は人口の約9割を占める農民を中心とする平等かつ伝統的な助け合いの精神に溢れた比較的平穏な社会であった”のが、80年代に入ると、“農民と都市移住者との所得格差が急速に拡大”していきます。(p327 大西義久氏の増補原稿による)
中国が思い浮かびました。経済が発展すると格差が生ずるものなんでしょうか。
本文中に、最初に書いた著者の熱血(漢)ぶりを示す発言が数多くあります。「オシムの言葉」ではないけれど、「服部語録集」として出版できるくらいです。
赴任先に家族を伴うことについての著者の信念が特に心に残りました。
私は教育に関する親の責任は、進学路線の確保等は抹消の問題で、成人してからの人生でどんな困難に遭遇しても、正面からこれにとりくんでこれにうち克つという人間強さを、あらゆる機会をとらえて子供につけてやることだと考えているので、非常な危険でもないかぎり家内は勿論子供も同伴するつもりでいた。(p297より)として、家族をルワンダに呼び寄せています。
余談ながら、増補版が出版されたのをきっかけに、氏の6年間の奮闘をメディアで取り上げてくれないかなと思います。再現ドラマで、できればアニメーションなら、全編日本語でも違和感が少ないと思うのですが。アニメのほうが手間がかかるかな。
■
[PR]
by ruksak
| 2009-12-21 15:07
| 旅の本
|
Trackback
|
Comments(1)

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
旅する心はいつまでも
by ruksak
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
ブログジャンル
最新の記事
60歳からの外国語修行 |
at 2018-03-30 11:33 |
キリマンジャロより愛をこめて |
at 2018-02-10 15:19 |
冬のスワンカフェはサントリー.. |
at 2018-01-29 16:33 |
ベルリンでぷらぷら |
at 2017-12-13 15:50 |
イスラーム圏で働く |
at 2017-10-28 15:42 |
カテゴリ
はじめましてごあいさつ
旅程表
ドイツ
チェコ
ポルトガル
オランダ
パリ
ブラジル
インド
スリランカ
マレーシア
シンガポール
タイ
マカオ
中国
韓国
香港
台湾
安めの宿
外国便り
外国的
旅の本
カレンダー
最新のコメント
ばななさん 明けま.. |
by ruksak at 00:52 |
こんばんは。 そして明.. |
by bananan_bou at 22:01 |
ばななさん こんば.. |
by ruksak at 01:22 |
こんばんは。 カレンダ.. |
by bananan_bou at 21:32 |
ばななさん さっそ.. |
by ruksak at 11:23 |
こんばんはー。 今年も.. |
by bananan_bou at 17:19 |
最新のトラックバック
「北のヴェネツィア」と呼.. |
from dezire_photo &.. |
西暦1719年 - 「ロ.. |
from ぱふぅ家のホームページ |
What a wonde.. |
from はれ、のちくもり |
仙台からの手紙 |
from はれ、のちくもり |
3/11に起こった東北地.. |
from のほほんannals |
生きものの記録からヒアア.. |
from 日々精進(カメ日記改) |
福島原発のこと |
from おうちしごと日報 |
今、できること |
from 単なる趣味のテディベア作り |
できることから |
from Toy Soldiers |
音楽の力 |
from tomate & conco.. |
タグ
広西チワン族自治区10(130)スリランカ観光(106)
中国茶(79)
リスボン(77)
広東省(75)
台湾北部(73)
切手(57)
上海(56)
マデイラ島(51)
地元札幌(47)
シンガポール'07 '08(47)
紅茶(44)
ボルネオ(44)
ポストカード(42)
マカオ09(41)
慶州(41)
広州周辺10(39)
クアラルンプール(38)
マラッカ(32)
プラハ(30)
スリランカ茶園(29)
ウルムチ(28)
写真館(26)
91アフリカ(23)
トルファン(20)
92イギリス(20)
91オーストラリア(20)
93ヨーロッパ(16)
クアラルンプール10(16)
香港10(15)
ドレスデン(13)
トランジット・ソウル(13)
香港07(12)
投稿文(12)
美瑛とその周辺(8)
トランジット・ソウル09(8)
トランジット・ソウル10(7)
インド・カシミール'97(6)
タイ・イサーン '96(6)
チベット文化圏 '97(3)
以前の記事
2018年 03月2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
more...