いつも異国の空の下
いつも異国の空の下 石井 好子 著 河出文庫 2012.2.20
海外旅行からしばらく遠ざかっておりますが、気持ちはこの本のタイトルのとおりに思えて借りてしまいました。
著者が身ひとつで飛び込んだのは昭和25年です。帰国後の昭和34年に8年間の外国生活を振り返った文章が書かれ、この本は昭和34年に出版された単行本を文庫化したものです。
著者はシャンソン歌手のほかにエッセイストとしても知られているとおり、ほんとに文章がうまく、順番に綴られる旅の記録がすらすらと読めました。
“その頃海外に出られるチャンスというのはアメリカ留学しか”なく、親御さんが山中湖の別荘を売って、サンフランシスコの音楽院の(一年間の)留学費を作ってくれたそうです。
フランスでシャンソンの勉強をしたいというのが外国に行く第一の希望だったので、滞在費用がなくなる前にアメリカからパリに向かい、パリで歌手の職を得てそのまま外国に数年間とどまることになりました。(途中2度帰国してます)
アメリカに出発したのが30前で、パリに着いたときはフランス語もわからず、女一人で、声が掛かれば渡り鳥のようにパリや他の都市の劇場へ。仕事をこなしつつ、その土地を楽しみ、現地の人と親交を深め・・。楽屋生活のエピソードが面白かったです。共演者、楽屋のメンバー、スタッフ、お客さんなどなど。
英語が少しでもわかる人は英語で話してくれて、‘フランス人は英語が話せてもフランス語しか話さない’ってことはなかったのか・・、少なくとも当時は? 私がパリを旅したときも英語を話してくれた印象があります。
公演は夜から深夜にかけてが多いので、昼夜逆転の生活になることが多いです。モンマルトルのキャバレー「ナチュリスト」に一年間出演したときは、休みが一日もありませんでした。契約時から休みなしという条件です。華やかな舞台の上とは反対にきつい世界です。
“三週間の仕事が終わった翌日は講和後六カ月目で日本が独立国としてみとめられた日だった。”
マドリッドのナイトクラブに出張中のときのことで、調べたら、それは昭和27年4月28日でした。8月15日の「終戦の日」は毎年なんらかの記念行事がありますが、「独立の日」は何かアナウンスありましたか。
最後に、著者と私に偶然の共通点がありました。
それは国際列車で通過国のビザを持っていなかったために列車を降ろされたことです。
著者はドイツ・ジュッセルドルフからパリに戻るときに、間にあるべルギーのビザを持っていませんでした。私はハンガリーからチェコに行くとき、その間のスロバキアのビザです。
お互い「到着国のビザはあるのにー!」と訴えても、「この国のビザがなければダメだ」と降ろされてしまったのです。
※私の列車エピソードの記事が次のところにあります、よかったら見てみてください。
タグ・93ヨーロッパ>1993.8.26 オーストリア・ウイーン・・または
タグ・プラハ>20年目のプラハ
海外旅行からしばらく遠ざかっておりますが、気持ちはこの本のタイトルのとおりに思えて借りてしまいました。
身ひとつで飛び込んだ米国から、第二の故郷ともなるパリへ。欧州各地、ショービジネスの本場ニューヨーク、革命前の狂騒のキューバまで―
大きく変貌してゆく時代と社会のなかで、日本人歌手として女ひとりで異国に暮らし、生きるために歌い、世界を三周した八年間の移動と闘いの記録。(裏表紙の紹介文より)
著者が身ひとつで飛び込んだのは昭和25年です。帰国後の昭和34年に8年間の外国生活を振り返った文章が書かれ、この本は昭和34年に出版された単行本を文庫化したものです。
著者はシャンソン歌手のほかにエッセイストとしても知られているとおり、ほんとに文章がうまく、順番に綴られる旅の記録がすらすらと読めました。
“その頃海外に出られるチャンスというのはアメリカ留学しか”なく、親御さんが山中湖の別荘を売って、サンフランシスコの音楽院の(一年間の)留学費を作ってくれたそうです。
フランスでシャンソンの勉強をしたいというのが外国に行く第一の希望だったので、滞在費用がなくなる前にアメリカからパリに向かい、パリで歌手の職を得てそのまま外国に数年間とどまることになりました。(途中2度帰国してます)
アメリカに出発したのが30前で、パリに着いたときはフランス語もわからず、女一人で、声が掛かれば渡り鳥のようにパリや他の都市の劇場へ。仕事をこなしつつ、その土地を楽しみ、現地の人と親交を深め・・。楽屋生活のエピソードが面白かったです。共演者、楽屋のメンバー、スタッフ、お客さんなどなど。
英語が少しでもわかる人は英語で話してくれて、‘フランス人は英語が話せてもフランス語しか話さない’ってことはなかったのか・・、少なくとも当時は? 私がパリを旅したときも英語を話してくれた印象があります。
公演は夜から深夜にかけてが多いので、昼夜逆転の生活になることが多いです。モンマルトルのキャバレー「ナチュリスト」に一年間出演したときは、休みが一日もありませんでした。契約時から休みなしという条件です。華やかな舞台の上とは反対にきつい世界です。
“三週間の仕事が終わった翌日は講和後六カ月目で日本が独立国としてみとめられた日だった。”
マドリッドのナイトクラブに出張中のときのことで、調べたら、それは昭和27年4月28日でした。8月15日の「終戦の日」は毎年なんらかの記念行事がありますが、「独立の日」は何かアナウンスありましたか。
最後に、著者と私に偶然の共通点がありました。
それは国際列車で通過国のビザを持っていなかったために列車を降ろされたことです。
著者はドイツ・ジュッセルドルフからパリに戻るときに、間にあるべルギーのビザを持っていませんでした。私はハンガリーからチェコに行くとき、その間のスロバキアのビザです。
お互い「到着国のビザはあるのにー!」と訴えても、「この国のビザがなければダメだ」と降ろされてしまったのです。
※私の列車エピソードの記事が次のところにあります、よかったら見てみてください。
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by ruksak
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